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2012年6月2日土曜日
psychological Considerations in the Adjustment to Spinal Cord Injury
Thomas D. Stewart*, M. D., Alain B. Rossier**, M. D.
能美 真理子***訳
脊髄損傷によるマヒの心理的側面には、最も痛痛しい、そしてフラストレーションを起こさせるような人間的諸経験をいくつか含む非常に広範囲な問題が示される。発病の時の年齢と関連している様々な症状を考えると、このようなマヒの心理的影響を全面的に論じることは不可能であろう。
ところで、この損傷に対する心理的反応は二つのパースペクティブから分析される。ひとつは、この損傷で苦しむ人各々に独自の反応を形成する混在した特殊諸要因に関連している。すなわち、この論文のこの部分は、このマヒの情緒的な衝撃を分析するためのひとつの型(format)である。他のひとつは、マヒのある人全部に共通する一般的要因である。マヒのある、もしくはない生活への適応と、こ� �ら一般的諸要因との相互関連性が強調される。
マヒに対する心理的反応を分析するためにその概要として考えられる特殊な要因としては次のものがある:ライフサイクルの中での位置、発病の原因、罪障感の役割、マヒした部分の意味、マヒする前のパーソナリティ構造、随伴する障害の役割と意味。
ライフサイクル
考えるべき最初の特殊な要因は、マヒした時の年齢である。発病の年齢は、マヒによる混乱がライフサイクルの中でいつおきたかを知る手がかりとなる。生まれて死ぬまでのライフサイクルのそれぞれの時期には、マヒの心理的影響と関連するそれぞれ特別に傷つきやすい点がある。三つの時期をとりあげて考察しよう:誕生時、青年期、中年期である。
二分脊椎のような生まれた時からの障害は、他人と比べて自分自身を知覚する能力が備わり始めた時、不完全さに気づくようになる。マヒした状態と比べるための基盤となる正常な機能がない:したがって患者は、身体的に完全だと一度でも感じる経験を奪われている。以前にあった状態を嘆くことが問題になるのではなく、他の人がもっているもの、できることへのね� �みが、こうだったらよかったのにという嘆きと関連して重要になってくる。運動活動と結びついた発達は少しずつ損なわれる。これは、移動力が少ないため、感覚経験の領域の発達が損なわれるためである。
また別の要因は、子どもの障害が親に与える影響である。この問題はPoznanskiによって論じられている。Poznanskiは二つの重要な問題に焦点をあてた。ひとつは、障害のある子どもに対して、親は怒りを表現できないという問題であり、これは、子どもの状態に対する親の罪の意識にもとづくものである。このため、子どもは、成長と発達に必要な言語的、身体的禁止が与えられない。もうひとつの問題も親の罪の意識と関係がある。それは過保護の問題である。こうした行動は、子どもに与えてしまった障害に対する両親の「� �い」の努力としてしばしば現れる。この過保護は、外傷を受けた子どもをもつ親の場合にも見られるもので、それは多分子どもを障害から守ることができなかったという罪障感から生ずることが指摘されるだろう。現実の要求や現実から生ずるフラストレーションから過度に子どもを保護すると、その子どもの自主性を育てる機会を奪うことになる。加えて、医学的リハビリテーション計画でなされる独立心の発達を損なうことになる。
青年期というのは大荒れの時期であり、生活の型、職業の選択、性、といった問題についても大いに不安定な時期である。マヒは、このように種種な問題が入っている大きななべのような時期への歓迎されない侵入物である。さらにマヒは、不安定さにもうひとつ要素を加わえることになる。青� �期は、マヒによって歪められたパーソナリティを溶かし、再結晶させる時期として記されている。不完全に形成されたパーソナリティにマヒを統合するのは確かにむずかしいことである。この時期の仲間意識と仲間による受容(acceptance)が重要なことはよく知られている。マヒによる混乱は、この最も大切な受容を実際に、あるいは想像の上でおびやかし得る。それに、この時期のマヒは普通のライフサイクルの連続性を混乱させる。
なぜなら、普通なら年をとることによって生じる問題、すなわち喪失や退化、に若い人を直面させるからである。マヒは青年に、その時期が来る前に年をとらせる。これは、リハビリテーションの病室で、青年よりずっと数の多い脳卒中の患者や、年をとって体の機能を失った人たちとしょっちゅ� ��会う場面におかれているということでも強められる。ひとりの片マヒの青年は、「僕が若かった時は」と口をすべらせ、彼のこの早熟な老いの意識を明らかに示していた。
中年期というのは、髪の毛や力がなくなり、友人の死がありふれたことになったりして、退化や喪失の感覚がすでに作用している時期である。マヒに関連する損失は、何の抵抗もなくこの流れの中に適合してしまう。しかし、マヒは、先在する退歩とかおとろえの感覚をさらに増大するように働いてしまうかもしれない。ある人にとっては、この損失に適応する経験は、すべてのマヒが与える打撃を、それがいつおこっても、柔らげる働きをするかもしれない。
時期
マヒのおこった時の原因と時期は、患者の情緒的適応にとって重要な意味を持つ。よく見過ごされる特徴は、外傷性マヒ者の記念的な反応である。よく患者は一見説明しがたい抑うつを経験する。医師はもちろんのこと、患者はしばしばこの抑うつがその傷を受けた記念日におこるということには全く気づかない。記念的反応についての質問は、マヒのあるなしにかかわらず、強い抑うつについての精神分析的評価の一部とするべきである。
!doctype>2012年6月1日金曜日
戦略目標
「炎症の慢性化機構の解明に基づく、がん・動脈硬化性疾患・自己免疫疾患等の予防・診断・治療等の医療基盤技術の創出」
研究領域名
研究総括
宮坂 昌之 (大阪大学未来戦略機構 特任教授)
概要
本研究領域では、炎症が慢性化する機構を明らかにし、慢性炎症を早期に検出し、制御し、消退させ、修復する基盤技術の創出を目的とします。
具体的には、①炎症制御の破綻機構を明らかにすることにより、炎症の慢性化を誘導、維持する因子を同定する、②炎症の慢性化によりどのようにして特定の疾患(がん、神経変性疾患、動脈硬化性疾患などを含む)が発症するのか、その機序を明らかにし、制御する基盤技術を創出する、③炎症の慢性化の早期発見および定量的な評価を可能にする基盤技術を創出する、などを目指した研究を対象とします。なかでも、従来の基礎のみ、あるいは臨床のみの研究ではなく、十分なエビデンスに基づいた知見を高次炎症調節機構の理解にまで昇華させ、新たな先制医療基盤技術の開発に つなげられるような視点をもつ研究を重視します。